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■ 弁護士ブログ

時効の話

 「時効」といっても、皆さんが気にかけることはほとんどないと思いますが、私など法律相談や事件処理を受任するときは、絶えず頭の片隅に置いています。うっかり時効になってしまったら大変なことになるからです。最近、「時効」が裁判の唯一の争点となって、最高裁判所まで争った事件を経験しましたので、時効について考えてみます。
 その前に、時効という制度がなぜ存在するのか。基本的な考えは、「権利の上に眠るものは法律で保護するに値しない。」です。また、長年月経つと証拠が散逸してしまい、立証が難しくなるという配慮もあります。
 事件は、原告は甲野花子さんで、軍人であった夫甲野太郎さんの戦病死により遺族に支給される恩給を請求したが、国が時効により請求権が消滅しているとして、請求の大部分を支給しなかった事案です。
 戦前、花子さんは太郎さんと結婚し、子が3人生まれました。太郎さんは陸軍に入隊し、南方に出動し、戦病死しました。ところが、太郎さんは陸軍に入隊したあと、花子さんに無断で協議離婚の届出をしていました。
戦後、昭和28年に、旧軍人が亡くなったときに妻であった者も恩給をもらえることになりました。花子さんは太郎さんの妻として国に恩給を請求しましたが、国は協議離婚届けにより戸籍から抜けていることを理由に、太郎さんの妻と認めませんでした。
 かなりの年月を経て、花子さんは弁護士のアドバイスで協議離婚無効の裁判をし、判決をもらい、戸籍を訂正しました。太郎さんの妻の記載が復活して戸籍を国に提出しましたが、国は、「昭和28年から7年間の消滅時効により花子さんの恩給を請求する権利は消滅した。」との理由で支払いませんでした。そこで花子さんは、国を相手に、過去の恩給の支払いを求める裁判をしたのです。国の主張は、「花子さんは昭和28年から7年間の間に、協議離婚無効の裁判をし、戸籍を訂正したうえで恩給を請求できたのに、それをしなかった。昭和28年から時効が始まり、7年の経過後に権利が消滅した。」というものでした。これに対し、花子さんは、「法律の素人が、協議離婚無効の裁判のことを知っている訳がないので、7年間の間にその裁判を起こして、判決をもらえというのは無理。協議離婚無効の判決が確定したときから時効が始まる。」と主張しました。裁判所は、国の主張をしりぞけ、過去の恩給の支払いを命じる判決をしました。高裁、最高裁も同じ判断をしました。花子さんは「権利の上に眠るもの」かどうか、という時効制度の基本的な考えによって判断がなされたのでしょう。皆さんはどのように判断されますか。


2015年07月21日

婚姻費用の早見表について

 離婚話がもつれて、別居中の夫婦の間で、生活費の支払が問題となることが多い。法律用語では「婚姻費用の分担」といいます。
 昔は面倒な計算をいちいちしていましたが、今は、「婚姻費用算定表」という早見表が作られていて、夫婦双方の収入額を基準にして婚姻費用の分担額がすぐにわかるので、便利です。
 しかし最近、この早見表に過度に依存する傾向が気になります。早見表は簡便ですが、夫婦ごとの異なる事情を考慮していません。例えば保育料が多額の場合、早見表では考慮されていません。しかし、子供を保育園に預けないと働きに出られない人もいます。そのような場合、保育料は収入を得るための経費であり、加算要素になると考えられるべきでないでしょうか。
 婚姻費用の事件で、そのように主張したところ、一審の家庭裁判所では認めてくれませんでしたが、二審の大阪高裁では認めてくれました。
 早見表の正しい運用の仕方を示したもので、高く評価したいです。


2014年03月28日

為替デリバティブ取引のADR

最近ADRを担当することが増えています。
ADRというのは裁判所以外の機関が紛争解決をすることです。
業界団体が設置することもあります。
私が担当したADRの1つはいわゆる為替デリバティブ取引です。将来の為替変動のリスクを避けるために、企業が銀行との間で一定の為替相場による日本円とドルなどの外国通貨の将来の売買を契約します。しかし実際はリスク回避というよりも、投機的なものであり、銀行に有利な契約条項になっています。私の依頼者は銀行との契約後に円高が進んだので、多額の損失を出しました。そこで全国銀行協会のADRに申立をし、契約の解除という形で解決しました。最近の円安と重なり、運よく損害を最小限にくい止めることができました。
ADRは解決が早いかわりに裁判ほど満足のいく被害回復は望めないことが多いのですが、今回は、解決のタイミングが良かったのでしょう。


2013年08月01日

石巻市を訪れて

平成24年7月、東日本大震災復興を祈念する催しに参加するために仙台に行きましたが、その際、石巻市まで足を延ばしてみました。鉄道は途中で寸断され、バスが代行運転していました。津波に被災したところは人家の基礎部分のみ残り、空地が海まで広がっていました。巨大ながれきの山が3、4か所ありました。一部水産加工会社が操業を始めていましたが、復興の途はまだまだ遠いなと実感しました。

福島原発事故の損害賠償がなかなか進まないようです。損害額の算定・評価の困難さが一因のようです。被害者数が膨大ですので、賠償基準の設定のほか、ある程度類型化して損害額を決めていくことも必要になるでしょう。私も薬害訴訟のときに経験しましたが、被害の類型化や金額の決定はなかなか難しい作業です。東京電力の抵抗もあるでしょうし、適正な損害額をどう決めるのか。担当されている弁護士の皆様の奮闘が期待されます。


2012年09月20日

ブログをはじめます。

あけぼの法律事務所ホームページ開設に伴い、
こちらのページでは、弁護士業務の日々をブログとして書き綴っていこうと考えております。


2012年09月13日










































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